1曲目で桜井和寿の声が少しおかしいことはわかった。ほんの少しだけだった。でもほんの少しだけでも桜井の声が変調をきたすと、Mr.Childrenの音楽の世界は壊れてしまう。
なんて重いものを背負って桜井はステージに立ち、ステージ以外での生活を送っているのだろう。
1曲目のかすれた声を聴いた瞬間に、手のひらから汗が出た。僕が焦ったところでなんにもならないのだが。

桜井の声が出ないところの代わりに歌うお客さん、深く頭を下げる桜井、という光景もあった。
でも声の状態は良くならず、桜井の口から中止と今後の振替公演の約束が告げられた。それでもまだ迷っているという桜井を見て、田原もマイクを取ってちゃんと説明を加えて気持ちを伝えた。
「桜井が歌えなくなったら、Mr.Childrenは終わるから」という、田原の言葉の重さをみんなが受け取った。
そしてメンバー全員、深く深く頭を下げていた。

これからも続くツアーのため、早く良くなってほしいと思う。
それにしても、温かいお客さんだった。