坂本龍一さんが亡くなった

この曲を聴くと必ず泣いてしまうという曲がある。その曲は坂本龍一の「Sweet Revenge」で、リリース時にレーベルから送っていただいたアルバムを聴いていてその曲を聴いた途端に涙が込み上げてきて、それ以来、その曲を聴くと必ず泣いてしまう。そういう曲は僕にはそれだけしかない。だから、一年に一度ぐらいしか聴かない。というか聴けない。聴くと、恥ずかしいぐらいに、泣き崩れてしまう。
その曲に出会ってからしばらく経って、この曲は坂本さんがベルナルド・ベルトルッチの映画『リトル・ブッダ』のために書かれた曲で、最初に書いた曲に監督から「もっと悲しい曲を」と注文された坂本さんがこの曲を書いたら「悲しすぎる。救いがない」と言われて坂本さんが大激怒したというエピソードがあることを知って本当に驚いた。
revengeというのはベルトルッチ監督に対する復讐という意味だったのかということにも驚いたが、あのベルトルッチ監督に「悲しすぎる」と言われるほどの悲しみを湛えた曲なのかと、改めて坂本龍一の音楽家としての凄さを思い知った。そしてちゃんと自分の耳と心でそれを感じ取れていたことが少し誇らしかった。
坂本龍一さんは僕にとって、僕らの世代にとっては、そんな先生のような存在だった。

坂本さん、安らかに。
山崎洋一郎の「総編集長日記」の最新記事
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