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    ポール・マッカートニー来日ツアー初日を観た! 変わらないようでいて、しかし感動が刷新されているポールのすごさ

    ポール・マッカートニー来日ツアー初日を観た! 変わらないようでいて、しかし感動が刷新されているポールのすごさ - pic by Michiko Yamamotopic by Michiko Yamamoto

    新作『エジプト・ステーション』を引っ提げてワールド・ツアーに乗り出したポール・マッカートニー。なんと来日としては1年半振りと、早くも実現してしまったわけだが、新曲を織り交ぜながらも、いつも通りの豪華な演目をふりまきながら、驚きや嬉しさを仕込んだ内容にもなっていた。感動と楽しさを、ひたすら圧倒的な力量でもって提供してくれるライブとなった。

    オープナーは前回のツアーでザ・ビートルズ時代以来、初めて披露した“A Hard Day’s Night”。あまりの名曲のため、ずっとオープナーを担ってきているようにも思えるのだが、実は2016年から初めてソロとしてポールが取り上げることになった画期的な選曲なのだ。いずれにしても、ビートルズのロックンロールのマジックを体現する曲なので、ただひたすらにしびれる。

    いつもの通りの、飄々として陽気なポールだが、最初はもちろんベースを抱えての演奏で、そのまま一気にバンド・モードで名曲を駆け抜けていく展開に。4曲目の“Letting Go”では、途中でいきなりホーン・セクションが鳴り出す。おそらくポールがホーン・セクションを引き連れるのは初めてのことかと思うのだが、どこにも見当たらず当惑していると、なんとステージから離れてアリーナの客席通路でホーン・セクションの3人が演奏していたことが判明。なかなか心憎い演出にホーン・セクション起用への自負もうかがわれた。

    5曲目からは“Who Cares”、“Come On To Me”と新曲を立て続けに披露し、これが序盤のかっ飛ばしモードにハマった展開となって、あまりにも見事な新曲の紹介となった。

    9曲目からはグランドピアノに移って“Let ‘Em In”を披露。ウィングス・ファンとしてはたまらない選曲だっただけでなく、ここでもまたホーン・セクションのアレンジが曲をどこまでも盛り上げるものになっていて素晴らしい。

    “My Valentine”、“Maybe I’m Amazed”などのパーソナルなラブ・ソングを披露した後はアコースティック・ギターを抱え、ロックンロール・セクションに突入。まずは“I've Just Seen A Face”のめくるめくようなメロディに圧倒され、続いてビートルズの前身バンド、クオリーメンとして初めてレコーディングした“In Spite Of All The Danger”をたっぷり時間をかけて披露。

    それに続いて何気なく披露してみせたのがビートルズとしての3枚目のシングル“From Me To You”。初期の名シングルであるだけでなく、これもまたポールとしては初めて取り上げる曲であり、おそらく前回のツアー時の“A Hard Day’s Night”に続く画期的なセレクションで、今回のツアーでソロとしては初公開のはずだ。

    その後はギターの弾き語りで“Blackbird”と“Here Today”を思い入れたっぷりに演奏してから、アップライト・ピアノへ移り“Queenie Eye”、“Lady Madonna”などのピアノ・リフ曲をたたみかけていく。そしてギターに持ち替えてからここで新曲“Fuh You”を披露。初々しい恋心を見事に歌い上げてみせた。

    大合唱となった“Ob-La-Di, Ob-La-Da”以降は締めにかかる展開で、完璧なパフォーマンスが深い感動を呼んだ“Band On The Run”に続いて、“Back In The U.S.S.R.”、“Let It Be”、“Live And Let Die”と必殺ナンバーが続き、大興奮状態で最終曲“Hey Jude”の大合唱で本編終了。

    アンコールではアコースティックでまず“Yesterday”を披露し、“Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band (Reprise)”、“Helter Skelter”へとたたみかけ、“Golden Slumbers”~“Carry That Weight”~”The End”の感動のメドレーで大団円を迎えてみせた。

    基本的にセットリストの大筋は昨年のツアーとそう変わるものではなかった。しかし、その間、新作も出ているし、数か所で披露する曲も変えて、それで大きな感動を生み出しているところが、さすがポールだとしか言いようがなかった。なんといっても、ビートルズ、ウィングス、ソロとどの時期にわたっても名曲に事欠いていないし、正直言って曲がありすぎるのだ。もう感動の引き出しが多過ぎるところと、何度観ても圧倒的な魅力をふりまいてくれるところがすごいとしみじみ思った。(高見展)



    <SET LIST>
    1. A Hard Day’s Night
    2. Hi, Hi, Hi
    3. All My Loving
    4. Letting Go
    5. Who Cares
    6. Come On To Me
    7. Let Me Roll It
    8. I've Got A Feeling
    9. Let 'Em In
    10. My Valentine
    11. Nineteen Hundred And Eighty Five
    12. Maybe I'm Amazed
    13. I've Just Seen A Face
    14. In Spite of All the Danger
    15. From Me To You
    16. Love Me Do
    17. Blackbird
    18. Here Today
    19. Queenie Eye
    20. Lady Madonna
    21. Eleanor Rigby
    22. Fuh You
    23. Being For The Benefit Of Mr Kite!
    24. Something
    25. Ob-La-Di, Ob-La-Da
    26. Band On The Run
    27. Back In The U.S.S.R.
    28. Let It Be
    29. Live And Let Die
    30. Hey Jude
    [encore]
    31. Yesterday
    32. Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band (Reprise)
    33. Helter Skelter
    34. Golden Slumbers
    35. Carry That Weight
    36. The End
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