シンプルなのにゴージャス! マルーン5、歌の力で実現された問答無用のエンターテイメント・ステージを観た

シンプルなのにゴージャス! マルーン5、歌の力で実現された問答無用のエンターテイメント・ステージを観た - pic by Masanori Doipic by Masanori Doi

「僕たちの夢を叶えてくれて本当に、本当にありがとう」とアダム・レヴィーンもMCで言っていたけれど、まさに当代きってのポップ・ロック・バンド=マルーン5による夢のようにパーフェクトなスタジアム・コンサートだった。名義上は最新作『レッド・ピル・ブルース』(2017)を引っさげての新作ツアーだが、その内実は『ソングス・アバウト・ジェーン』や『オーヴァーエクスポーズド』、『V』のナンバーも多数披露されるヒット曲満載の集大成セットで、東京ドームを埋めたオーディエンスはオープナーの“What Lovers Do”から総立ちの瞬間着火となった。

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今回の一夜限りの東京ドームは『レッド・ピル・ブルース』のアジア・ツアーの皮切りとなる公演だが、そのステージはこれまで同様に驚くほどシンプルだ。スタジアム・ロック・バンドのお約束の連続パイロや過剰な紙吹雪、縦横無尽に交錯するレーザービームといったド派手な特効はひとつもなく、スクリーンの映像も冒頭の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のオマージュとカーディ・Bらが登場したアンコールの“Girls Like You”以外は、基本的にプレイ中のバンドと観客を映すモニターに徹している。メインステージからセンターステージに向かって一応花道も伸びているのだが、その花道もたまにアダムが歩いたりするのみだ。MCもほとんどなく、セットの合間に2度、3度ほど明確なモード転換を感じさせた以外は各ナンバーが畳み掛けるような連続性の元で滑らかにプレイされていく。

そしてだからこそ、ステージ上の彼らと約5万人のオーディエンスの間にはそぎ落とされた音楽だけが存在していたからこそ、彼らのポップ・ソングがいかにゴージャスであるか、その一音一音がいかに制御されていてウェルメイドであるかという点にひたすら圧倒される1時間半だったのだ。全曲シンガロングできるキャッチーなメロディと、自然に体を揺らししたくなるセクシーなグルーヴは、マルーン5のライブにおいて至極当たり前にオーディエンスに提供されるのだけれど、15年以上にわたって日本でもお茶の間レベルに浸透したポップ・ソングを書き続けてきた彼ら以外に、そんなことを実現できる洋楽バンドはほとんど存在しないのは間違いないだろう。

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マルーン5のライブを観るたびに驚くのは、彼らのパフォーマンスにおけるギターの存在感だ。そう、2010年代のポップスに適応するためにバンド・ミュージックがギター・サウンドを捨て去りつつある不可逆な流れの中で、むしろその流れを牽引してきたバンドであるはずの彼らが、これほど多様なジャンルとフレージングを網羅したギターを弾きまくるとは、アルバム音源段階では想像できないのでないか。

軽やかなレゲエやボサノヴァのリフからクラプトンばりの渋いブルース・ギター、がっつり腰を落として挑むハード・ロック、さらにはプログレ的超絶技巧まで網羅したジェイムス(G)のプレイヤビリティは言うまでもなく、隙あらばギターを引っ掴んでソロを弾きまくるアダムも、自身のアイデンティティの中心に今なおギターがあることを感じさせる。そしてそんな彼らのギター・ミュージックとしてのアンサンブルに、PJモートンのキーボード(とコーラス)のR&Bやファンクのテイストが加わることによって、唯一無二のマルーン5のポップ・ロックは生み出されていく。

“Sunday Morning”を筆頭にショウの随所で感じられるのが彼らのマイケル・ジャクソンへの多大なるリスペクトだが、本編のクライマックス付近で“Rock With You”のカバーをやってくれたのも嬉しい! アコギの弾き語りセットで披露したアンコールの“Lost Stars”、“She Will Be Loved”も、どこまでもシンプルでありながらどこまでも贅沢なひとときだった。(粉川しの)

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<SET LIST>
1. What Lovers Do
2. Payphone
3. This Love
4. Misery
5. Sunday Morning
6. Animals
7. One More Night
8. Cold
9. Maps
10. Harder to Breathe
11. Don’t Wanna Know
12. Love Somebody
13. Makes Me Wonder
14. Rock With You (Michael Jackson cover)
15. Moves Like Jagger
Encore
16. Forever Young (Alphaville cover)
17. Girls Like You
18. Lost Stars
19. She Will Be Loved
20. Sugar
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