スリップノットの新作『ウィー・アー・ノット・ユア・カインド』が8月9日、ついに発売を迎えた。世界19ヵ国のアルバム・チャートでトップ5入りを果たし、アメリカやオーストラリアのみならずここ日本でも1位を獲得した『.5:ザ・グレイ・チャプター』(2014年)以来となるこの第6作の、いかにも意味ありげなタイトルに込められた想い、音楽的充実度の秘密などについては、現在発売中の『ロッキング・オン』9月号の誌面でコリィ・テイラーが熱く語っているので是非お読みいただきたいところだ。その発言ぶりからは、前評判も上々な今作でのコリィの満足度の高さがうかがえる。
コリィは同インタビューのなかで、今作におけるジム・ルートとショーン・クラハンの貢献度の高さについても認めているが、この怪物アルバムを完成に至らしめた立役者はメンバー以外にもいる。前作に引き続きバンドと共同プロデュースを務めているグレッグ・フィデルマンだ。彼について、コリィは次のように語っている。
グレッグは俺たちをプッシュするのが上手いんだ。ぶっちゃけ、俺たちも以前のように若いわけではない(笑)。だからいつもと同じ手慣れた方法で作業してしまいがちだ。だけどグレッグは駆け引き上手で、与えられた任務を見事にこなす人間だし、決まったアイデアに踊らされることがない。おまけに仕事ぶりも綿密でね。俺たちにとって、まさに完璧なプロデューサーと言っていい。良いアイデアが巡ってくるように流れを組んでいくのが上手いんだ。
彼は、馴染みのないことでも思い切ってやってみようとするタイプだし、俺たちが間違いを犯すことでさらに良いアイデアが生まれてくるように仕向けてくれる。それが彼の何より素晴らしいところだ。しかも彼は、とても忍耐強い。スリップノットのプロデューサーは、そうじゃないと務まらないからな(笑)。
しかも同時に、良い友人でもある。バンドのクリエイティヴなプロセスや楽曲、アート面のすべてにおいて、彼のことを全面的に信頼できているんだ。俺たち自身と同じくらいこのアルバムに貢献してくれているし、素晴らしいコラボレーターだといえるし、俺が個人的にも好きな人間のひとりだよ。
グレッグ・フィデルマンは1965年生まれで、近年ではスリップノットの作品以外にも、メタリカやスレイヤー、ブラック・サバス、レッド・ホット・チリ・ペッパーズからアデルに至るまでの作品にプロデューサーやエンジニアとしてクレジットされている売れっ子だ。そもそもはギタリストでもあり、1990年にはグレッグ・フィールズの名で、ライノ・バケットというハード・ロック・バンドの一員としてデビューしていたりもする。そんなグレッグとの絶妙なコラボレーションの末に生まれた『ウィー・アー・ノット・ユア・カインド』が、この先どんなふうに広まっていくことになるかが楽しみなところだ。(増田勇一)
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