トゥール、13年ぶりの新作は驚異の80分越え。8月末まで「門外不出」の怪物アルバムを、LAでいち早く聴いた!

トゥール、13年ぶりの新作は驚異の80分越え。8月末まで「門外不出」の怪物アルバムを、LAでいち早く聴いた!

『10,000デイズ』以来、実に13年ぶりとなるトゥールの新作アルバム『フィア・イノキュラム』が、いよいよ8月30日(金)にリリースを迎える。現時点においては10分を超える表題曲のみが先行配信されており、早くも米国のビルボード誌によるチャートでは「トップ100入りを果たした史上最長の楽曲」といういかにもトゥールらしい記録が打ち立てられていたりもする。前2作はいずれも全米アルバム・チャートで首位を獲得しているが、今作も間違いなく大きな反響を呼ぶことになるだろう。


今、実際、そのタイトル・トラックを繰り返し聴きながら、アルバムの全貌がいかなるものであるか妄想を働かせている読者も多いことだろう。そして筆者は幸運なことに、去る7月下旬、バンドの本拠地であるロサンゼルスにて、逸早くこのアルバムの全曲を試聴する機会に恵まれた。とはいえ極秘のデータを入手したわけでも、大掛かりな試聴会に出席したわけでもない。僕が訪れたのは、バンドのパブリシティ担当者の自宅。門外不出と言われているこの音源を聴くには、バンドの側近というべきごく限られた関係者の立ち会いのもと、外部に情報が漏れない環境で試聴させてもらうしかないのだ。

そのパブリシスト宅のリビングルームで、楽曲のタイトルが記された紙だけを手渡され、アルバム収録曲すべてを一通り聴かせてもらうことができた。本来ならもう何回か繰り返し試聴させてもらいたいところではあったが、なにしろ一周聴き終えただけで80分以上の時間が経過していたため、残念ながらそれは叶わなかった。ただ、その時点で明らかだったのは、10分21秒という表題曲の長尺さが、アルバム内において例外的なものではない、ということ。そしてもうひとつは、サイズ的には長い曲ばかりでありながら、いざ聴き始めて身を委ねてしまうと、良い意味で“いつのまにか終わってしまう”かのような、トゥールならではの催眠効果めいたマジックが起きるということだった。

“フィア・イノキュラム”という楽曲についてもそうした印象を抱いている読者は少なくないはずだが、彼らの楽曲は無駄に長いのではなく、長さが説得力を演出しているわけでもなく、そこに必然が感じられ、しかも聴き手の時間経過に対する感覚を麻痺させるような力を持っているのだ。そしてダークでディープ、ムーディでスプーキー、スペイシーで幻想的なアルバムの全編を聴き終え、まるで宇宙のジャングルを彷徨っているかのような余韻を味わいながら、ふと窓の外に目をやれば、カリフォルニアならではの真っ青な空が広がっていた。「こんな場所で、どうしてこんな音楽が生まれ得るのだろう?」というあまりにも素朴な疑問が浮かんできたほどだった。

今回、何がなんでもアルバム・リリースに先がけて一刻も早く試聴の機会を得たかったのは、バンド側があらかじめ「インタビューは、アルバム試聴済みの相手としか行なわない」というスタンスを明らかにしていたからだ。そして、実はここがいちばん重要なところなのだが、このロサンゼルスでの試聴の機会から3週間ほどを経た8月某日、ギタリストのアダム・ジョーンズが電話での独占インタビューに応じてくれた。彼はアルバム自体に関すること、バンドの現在についてはもちろんのこと、彼自身が手掛けているあまりにも規格外なアートワークなどについても、じっくりと丁寧に答えてくれている。こちらの取材記事は9月6日発売の『ロッキング・オン』10月号の誌面でお届けすることになっているので、楽しみにしていて欲しい。そして、その記事を目にする前に、8月末に世に放たれるこの超重要作品に、是非触れておいて欲しい。このアルバムの登場を機に、何かが変わるかもしれない。なにしろ『フィア・イノキュラム』は、そんなふうに思えるほどの怪物アルバムだから。(増田勇一)
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