ラグビーW杯と共に(?)マニック・ストリート・プリーチャーズがやってきた! 名作『ディス・イズ・マイ・トゥルース〜』20周年記念ライブをウェールズ民と楽しみ尽くした一夜

ラグビーW杯と共に(?)マニック・ストリート・プリーチャーズがやってきた! 名作『ディス・イズ・マイ・トゥルース〜』20周年記念ライブをウェールズ民と楽しみ尽くした一夜

約3年ぶりの来日となったマニック・ストリート・プリーチャーズだが、この日の豊洲PITの様子はいつもの彼らの来日公演とは様子がだいぶ異なっていた。何しろラグビー・ワールドカップの開催真っ只中だ。強豪ウェールズのサポーターも多数来日していて、その彼らがウェールズが誇る国民的バンド、マニックスのライブにドッと押し寄せたからだ。会場のあちこちでウェールズ旗が掲げられ、ビールが飛ぶように売れまくり、レッドドラゴンも鎮座したフロアには何度もウェールズ・コールが轟いた。ステージの3人にとっても、ほとんどホームのような感覚のライブだったんじゃないか。

そんなスペシャルなシチュエーションに加え、今回は『ディス・イズ・マイ・トゥルース・テル・ミー・ユアーズ』のリリース20周年を記念した、これまたスペシャルな完全再現ライブだった。マニックス最大のヒット・アルバムである『ディス・イズ・マイ・トゥルース〜』は、“The Everlasting”や“If You Tolerate This Your Children Will Be Next”、“Tsunami”のような鉄板のシンガロング・アンセムが収録されている一方で、ミッドテンポで柔らかなメロウ・チューンが多いせいか、ライブ・レパートリーはかなり少ないアルバムだ。故に初来日から欠かさず彼らのライブに通っている筆者ですらライブでは初めて聴いたナンバーが続出で、これが驚くほど新鮮だったのだ。そしてアコースティックの弾き語りで披露された“Born a Girl”や、プログレ的転調もスリリングだった“Be Natural”などは、リリースから20年を経て円熟を重ねた現在の彼らにこそ相応しいナンバーだと思った。


そんな完全再現の第一部の直後、インターバル無しで雪崩れ込んだ第二部はいきなりの“Slash 'n' Burn”でスタート! 直前までのしっとりアダルトな丸みを粉砕して一気にパンク鉄火場と化す様に笑ってしまったが、円熟の傍でこうしてヒリヒリと摩擦係数をあげていくのもまた、30年変わらぬマニックスの真髄なのだ。

「次の曲は君らへのプレゼントだ」と始まったのがガンズ・アンド・ローゼズの“Sweet Child O’ Mine”のカバー! これは貴重! “You Love Us”ではウェールズのラグビー選手のジェイミー・ロバーツも飛び入り参加してギターを掻き鳴らし、場内が殆どウェールズ対オーストラリア戦の前夜祭みたいなノリになってきたのも面白かった。マニックスとウェールズ、ウェールズとラグビー、そしてラグビーと日本。その全てが噛み合って生まれたオンリーワンのムードを体感できた一夜だった。(粉川しの)

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