レッチリ以前の少年時代を描いたフリーの自伝本『Acid for The Children』を、オーディオブックで体験! ユニークかつ臨場感溢れる人生の物語だった

レッチリ以前の少年時代を描いたフリーの自伝本『Acid for The Children』を、オーディオブックで体験! ユニークかつ臨場感溢れる人生の物語だった

レッド・ホット・チリ・ペッパーズのフリーの対面取材の通訳をした際に、「三島(由紀夫)が大好きなんだよ」と言い出して、驚きを隠せなかったことがある。

それまで私の脳内でソックス1足の他は全裸でベースを弾いているイメージだったフリーは、知的で、ジャズを愛していて、読書家で、繊細な人だった。そんなに本が好きならいつか本を書いてくれるのではないかと期待していたら、自伝本が出版された。『Acid for The Children』は、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ以前のフリーの少年時代を綴った素晴らしい一冊である。

昨年の11月に発売されていたが、今ようやく、オーディオブックという普段はやらない方法で読み終えた。『Acid for The Children』は、著者のフリー自らが朗読しているのが魅力で、オーディオブックで体験するのに相応しい本だ。

この本の中では、フリーはマイケル・バルザリーという名の少年だ。物語はマイケルが生まれたオーストラリアで始まり、4歳で両親が離婚、母親と姉とNYに移住し、ジャズ・ミュージシャンの継父を通してジャズと出逢い、ロサンゼルスに移住し、高校でアンソニー・キーディスとヒレル・スロヴァクと親しくなり、自分の居場所を見つけて、レッド・ホット・チリ・ペッパーズの活動が始まるところで終わる。

レッチリ以前の少年時代を描いたフリーの自伝本『Acid for The Children』を、オーディオブックで体験! ユニークかつ臨場感溢れる人生の物語だった

その中で、取材では語られないようなリアルすぎるエピソードが次々に明らかになる。本の表紙はマイケル少年がジョイントを吸っている写真だが、初めてLSDを摂取した夜にエコー・アンド・ザ・バニーメンのライブを観に行くエピソードなど、彼のあらゆるドラッグ体験も語られている。ただフリーは、決してそれらの体験を美化していない。

物語をさらに面白くしているのが、目を見張るほどのフリーの演技力。一人語り調の本を本人が読んでいるのだからリアルなのは当然だが、フリーの朗読は一人芝居の域に達するほど鮮やかで、常に臨場感たっぷりだ。

新しい音楽に出会う興奮を情熱的に語り、人生最大の後悔は、まるで今起きていることのように涙を堪えて語る。親友ヒレルの死を語る時の彼の声には、胸が締め付けられた。約9時間、最後までマイケル少年の物語に引き込まれっぱなしだった。

フリーはロサンゼルスで子供達のための非営利音楽学校を経営しているが、特に子供達を思いやる人になったのは彼自身が大変な子供時代を過ごしたからだというストーリーが、『Acid for The Children』を通して見えてくる。

そして幼い頃から、フリーは本当に心の優しい人だったことも。
少年の成長と友情はいつの時代にも不変のテーマと言えるだろうが、数多の冒険記よりもワイルドな少年時代を生きながら、深い内省を繰り返して自己を探求する姿を描いた『Acid for The Children』は、非常にユニークで素晴らしい本だ。

レッド・ホット・チリ・ペッパーズを知らない子供達にも読んで欲しい名作だと思う。(鈴木美穂)
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