正直、The Birthdayはこんなにも格好いいバンドで、チバユウスケはこんなにも素晴らしいロック・シンガーだったのかというアルバムである。今更何を言っているんだと思った方は、多分僕と同じことを感じて一層びっくりするだろう。最近の彼らの創作ペースの早さは、このバンドの「どこにでもいける」しなやかさと切り口の多彩さ、引き出しの多さを説明していたと思う。では今作では何が凄いのかというと、恐らく「絞った」のだ。相変わらずキュウちゃんのドラムはソリッドで、ハルキのベースはますますブリブリしてて、イマイのギターは妖艶なフレーズを発明しまくっているのだが、それにも増してチバの歌である。メロがキャッチーで、カメレオンのように唱法を切り替えるがすべて見事に曲のムードにフィットしていて、全曲ラブ・ソングでフールでロックンロールなのである。
思えば、デビュー・シングル“stupid”でのマシンガン・スポークンワードから、キャッチーなメロは控えめになっていた。どこにでもいけるから、一回りしてまた、あの声がキャッチーなメロディとビートを抱きしめたのだ。(小池宏和)
チバの歌が踊っている
The Birthday『NIGHT ON FOOL』
2008年11月12日発売
2008年11月12日発売