ブロンディといえば、やはり先日のコーチェラでのアーケイド・ファイアのライヴに飛び入り参加したデボラ・ハリーが印象深い。“ハート・オブ・グラス”から“スプロールⅡ”へのメドレー。歌声は若干か細く感じられたが、レジーナと並び立った迫力、「妖女」たる魅力は健在だった。8年前にはロックの殿堂入りも果たしたブロンディだが、後進への影響力とその存在感はいまだ衰えず、といったところか。

そんなタイミングで格好のリリースが本作。ベスト盤と新作の2枚組で､しかも今年で結成40周年という節目の作品になる。“ハート～”は勿論、“コール・ミー”“夢見るNO.1”etcを収録したベスト盤は、驚きの全曲再レコーディングされた新録仕様に。それだけでも豪華だが、注目は3年ぶりとなる新作『ゴースツ・オブ・ダウンロード』の方だろう。前作を手がけたジェフ・サルツマンを再び起用し、よりエレクトロニックに、音楽性の幅を広げた仕上がりに。ゴシップのベス・ディットらゲストも話題だが、白眉はカリブのコレクティヴ、システマ・ソラールを迎えたリード・トラックのM1。まさにデジクンビア版“ハート～”といった趣か。（天井潤之介）