2014年マニフェストどおり、4～6月のシングル3ヶ月連続リリースを経て発表されるニューアルバム。6月の“ズッ友”は、久々と言っていいくらいに爆音ギターと切ない美メロが全開の王道かまってちゃんだったが、アルバムは決して原点回帰というわけでもなく、見事にバンド・サウンドをビルドアップさせた最新型かまってちゃんとなっている。ピアノやストリングスが折り重なる中、都市生活の乾いたモラトリアムがささくれ立つ“新宿駅”。流麗でフォーキーな楽曲が捻くれた愛の形を増幅させる“背伸び”。シングル曲“フロントメモリー feat. 川本真琴”の、あらためて驚かされる完璧なハマり具合。多くの楽曲で巧みに取り入れられたシンセ・サウンドは、とりわけ新鮮な響きだ。

公衆の面前でメンバー同士が激しく衝突しても、の子がソロ活動に勤しんだりしても、かまってちゃんの新作にはその都度必ず、バンド単位の成長が具体的に表れていて、触れながら思わず胸を熱くさせられる。こんなふうにリスナーをキャリアの物語へと巻き込むかまってちゃんは、やはり特別な存在だ。（小池宏和）