完璧すぎて泣ける

indigo la End『雫に恋して/忘れて花束』
2015年09月16日発売
SINGLE
indigo la End 雫に恋して/忘れて花束
indigo la Endが歌うのは、一貫して恋愛における「喪失」だ。今回のシングルもそうで、《雨が悩んで/私を避けて行くわ/雫がポツリと/落ちてもわかるように》(“雫に恋して”)というフレーズなんか、失恋の涙を肯定する、少しの自意識がやけにリアルで生々しい――のだが、この作品にはそんな安易な共感を寄せ付けない程の「完璧さ」があるように思う。

『雫に恋して/忘れて花束』は静かな作品だ。だからこそ、彼らの楽曲の隙のなさが際立っている。絵音が紡ぐ生々しい喪失の情景を取り囲む、テクニカルで、縦横無尽で、しかし紳士的なフレーズの数々。それは、叙情的で揺らぎのある歌詞を受け止める世界としては、ある意味完成しすぎているようにも思える。(”忘れて花束“のAメロのリズム隊なんかまさにそう)。感情的で不確かなものを、わかりやすい盛り上がりの中ではなく、緻密に構築された演奏の中で歌うというアンバランス。この不安定な構造は、共感する/しないの外側で、空気のような切なさを私たちの胸に落としていく。indigo la Endが泣ける理由は、ここにあるような気がしてならない。(安田季那子)
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