セルロイドの英雄よ永遠なれ

ザ・キンクス『この世はすべてショー・ビジネス レガシー・エディション』
発売中
ALBUM
ザ・キンクス この世はすべてショー・ビジネス レガシー・エディション
60年代前半にUKのスモール・レーベル、パイから同国でブレイクをはたしたザ・キンクス。60年代後半には、米国音楽家連盟によってアメリカ公演が禁じられてしまう。その枠にくくられるバンドたちとの音楽的共通項から考えて、もしその事件がなければ、米国であそこまで青少年によるプロト・パンク/ガレージ・サイケデリック・ミュージックが盛り上がることもなかった?

そんな彼らが、70年代RCAに残した傑作群のレガシー・エディション・リリースが始まる。まずは、オリジナル・アナログ盤も2枚組だった、この名盤。1枚目はスタジオ制作、2枚目はまさにその「解禁」直後にNYでぶちかましたライヴ録音だった。それをCD1枚に収め、ファンにはたまらないレア・トラックを満載したもう1枚を組みあわせる。どう考えても理想的リイシューだ。

当時の流行だったホーン・セクションを導入しつつ、それほど暑苦しくはない。ブルース/カントリーっぽかった前作に比べ、よりソウルフル/リズム&ブルース。わりとラフなサウンドは、90年代ローファイ、今っぽくいえばポスト・パンクの、大先輩のようにさえ聴こえる。(伊藤英嗣)
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