もともと昨年リリースが予定されていたが、ようやく今年になって日の目を見ると、アデルに次ぐ驚異的なセールスを記録したドレイクの新作。ラップもヴォーカルも自在に使いこなし、ヒップホップとR&B/ポップの両面をよどみなく表現できるところがドレイクの身上ともなるが、本作は彼の歌ものアルバムと言ってもいい内容になっている。もちろんMCもたくさん収録されているが、この作品は、冬から春、夏から秋、そしてまた冬へという季節の移ろいのなかで終局を迎える、ある男女の関係を綴ったもので、関係が壊れていくその心情を歌い上げるのがこのアルバムのテーマであり、ある意味ドレイクにとってのブルース、あるいはソウル・アルバムなのだ。その終着点となるのが昨年大ヒットしたシングルとなった最終曲の“ホットライン・ブリング”で、そこまでの過程をひもとくのが今回の内容なのだ。確かにメロドラマ的ではあるし、いよいよドレイクもメインストリーム化に足を突っ込んだかと思われるかもしれないが、こうした体験のクロニクルという発想そのものが、極めてヒップホップ的だということが特に重要なのだ。(高見展)