『その瞬間、見えた風景。』 10月5日発売2014年に『東京物語』、2015年に『黒うさぎ』、そしてこの10月に本作と、lukiは丸2年に満たない内に3作のフルアルバムをリリースすることになる。多作家なのである。全16曲を収めた今回のニューアルバムも、素描画のタイトルのようだが内実はまるで違う。切り取られたリアルな情景の色彩と感情のうごめきが、生々しく立ち上ってくる。『CUT』誌上では山田ルキ子のペンネームで連載も手がけていることもあってか、彼女の音楽はシネマティックだ。ただし、インプットした情報がそのまま音楽に転写されるのではなく、彼女の心のフィルターで濾過され、肉体性を持った強いメッセージとして放たれる。このクリエイティヴなプロセスをこのペースで、生活感の滲む手捌きでやってのけるのが凄い。村上春樹のエッセイにインスパイアされたという“オムレツ”や、男性の収集癖を糾弾する“コレクション”など、男女のすれ違いにlukiらしい批評眼を滑り込ませる曲もあるが、今回はブライトな音像と共に前向きなメッセージを投げかける楽曲が多い。ユーモラスなMCが癖になるライブにも注目だ。(小池宏和)