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luki『新月とコヨーテ』
発売中
MINI ALBUM
luki 新月とコヨーテ
作品ごとにくるくると戦い方を変えるlukiのディスコグラフィーは実におもしろい。言い換えれば、lukiは表現スタイルを切り替えても常に戦い続けているということだ。昨年リリースのフルアルバム『ACTRESS』は、モータウン風からライオットガールまで、愛らしくチャーミングなガールズポップ博覧会という趣があったが、今回のミニアルバムは一転、ジョニ・ミッチェルの名盤『逃避行』をオマージュしたアートワークからも窺えるように、大人びたアコースティックポップ集となっている。フォークやボサノバなどのソングライティングを参照しつつ、コンテンポラリーなリズムトラックを取り入れたアレンジが素晴らしい。lukiの肉声も、奥行きのある歌詞の情感を生々しく伝えている。あたかもカフェミュージックのような響きで、日々の暮らしのさまざまな場面にスッと入り込む一枚ではあるけれど、楽曲群に込められた背景や物語には、lukiらしい不撓不屈の反骨精神が根付いている。じっくり聴き込むにもうってつけの作品である。ついつい聴き返したくなるような、味わいの深い全8曲だ。(小池宏和)
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