昨秋から洋楽カバーのデジタルシングルを発表してきたシンガーソングライターのlukiが、カバーシリーズをミニアルバムとして纏め上げた。なおこの4月には本作と同タイトルのワンマンライブを開催しており、CDはライブ会場限定販売なのだが、ぜひデジタル音源のほうでもどっぷりと浸ってみてほしい。ボブ・ディランやアニマルズのバージョンが有名な“朝日のあたる家”、幾多の名演に挑むような“The End of the World”、ドアーズやデヴィッド・ボウイも好んだ“アラバマ・ソング”、そしてブルースの大名曲を歌い替えた“フーチークーチーウーマン”という4曲だ。“朝日〜”や長らくライブで歌い続け得意のブルースハープも火を噴く“フーチークーチー〜”は、人間の欲望に身を晒すストーリーテリングと情念の歌唱が強烈。一方、オリジナルの歌詞を比較的忠実に訳した“The End〜”では孤独な心の空隙を見事に描き切り、元々演劇の中で歌われてきた“アラバマ〜”ではlukiらしいシアトリカルな表現力を発揮して狂気スレスレの危うい酩酊感を伝える。むしろlukiのほうが楽曲に選ばれている名カバーたちだ。(小池宏和)
(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年6月号より抜粋)
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