ジュリアンを始め、ソロ活動もさかんなストロークスの中で最後となったギターのニック・ヴァレンシのサイド・プロジェクト、CRX待望のファースト。もっとライヴをやりたいという衝動に突き動かされてのグループ化だっただけに、まるで長年ライヴ・ハウスで活動してきたような、とてもナチュラルなバンドとしての膨らみがどの曲からも溢れだしている。聴く前にイメージしたガレージ・ロック色はむしろ薄く、王道的なギター・ロック・バンド然とした曲が多くて心地よく響いてくるのだが、これはニックが自分の求めるものを的確に把握しているからだろう。じっくりと挑んだソロ・プロジェクトならではの成果が出ている。
それと特筆すべきは、イギー・ポップの傑作『ポスト・ポップ・ディプレッション』でも素晴らしい役割を果たしたジョシュ・ホーミ(クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジ)のプロデューサーとしての存在感で、ニックの魅力とやりたいことを最良な形で巧く道筋を付けていっている。CRXとしてのライヴもぜひ観てみたいし、さらに来年に予定されているストロークスの新作への期待が高まる一枚だ。(大鷹俊一)
最後のソロ・デビュー
CRX『ニュー・スキン』
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