柔らかな歌が伝えるもうひとつの顔

ent『ELEMENT』
発売中
ALBUM
ent ELEMENT
ホリエアツシが2009年にこのソロプロジェクト・entの第1弾としてリリースしたアルバム『Welcome Stranger』は、エレクトロニカを主体にしたサウンド、抑制の効いたボーカルが内省的な印象で、翌年公開の映画『ソラニン』劇中音楽の試作のようでもあった。2ndアルバム『Entish』はその延長にあったが、ライブも行い、entの立ち位置が少々変わったように思えた。そして今回、5年ぶりの新作『ELEMENT』は、原点を見直しながらさらに動きを感じさせ、ひとりのアーティストとしてentが動いていることを実感させる。1作目収録の“Silver Moment”のリミックスバージョンを収録しているのは、そんな気持ちの表れではなかろうか。声を張らず柔らかな歌い方なのは変わらないが、「歌もの」としてもうひとりのホリエを見せているし、エレクトロでもバンドに近いビート感のあるサウンド構成だ。ホリエらしいポップなメロも光り、“Autumn Nightmare”などソロシンガーとしてのホリエの顔が明快に見えてくる。どうやら控えめだったentの存在が大きくなってきたようだ。(今井智子)
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