押し殺された怒りを知れ
BRAHMAN『不倶戴天 -フグタイテン-』
2017年04月12日発売
2017年04月12日発売
SINGLE
4月12日にスタートする最新ツアー「戴天」と同時にリリースされるニューシングルだが、恐ろしく率直に投げかけられる怒りのつぶてと化した作品だ。タイトルチューンは「俱(とも)に天を戴(いただ)かず」の意で、つまり同じ空の下にいられない、生かしてはおけないという敵意を表す。TOSHI-LOWの叫びは、鋭いパンクサウンドを追い越すほどの速度と熱量をもって顔を見せない敵を糾弾してゆく。凄まじいのは、嚙み締める奥歯と心から血を流すような怒りに震えながらも、それほどの怒りを決死の思いで押し殺そうとする結論に手を伸ばしていることだ。そこまでしなければ向き合えない現実が、この俗世にはあるということ。そして、“ラストダンス featuring ILL-BOSSTINO(THA BLUE HERB)”は、スウィングするハードコア祭囃子の中、BOSSのこの上なく赤裸々なラップが繰り出されるコラボ曲だ。原発への思いが溢れ出す後半の切迫感と痛ましさは筆舌に尽くしがたい。終わりなき闘争と疾走のテーマソングのように響き渡る“怒涛の彼方”含め、一瞬たりとも聴き漏らしてはならないシングルだ。(小池宏和)