「京都大作戦2019 〜倍返しです!喰らいな祭〜」 1日目

「京都大作戦2019 〜倍返しです!喰らいな祭〜」 1日目 - photo by HayachiNphoto by HayachiN

昨年の「京都大作戦2018」は荒天に見舞われ、残念ながら幻の第1回目以来となる全面開催中止となった。あれから1年、リベンジの思いを込めて2週計4日間のスケジュールで繰り広げられることになった10-FEET主催フェス「京都大作戦2019 〜倍返しです!喰らいな祭〜」。宇治市の太陽が丘には、2019年版だけでなく、2018年版の大作戦Tシャツを纏ったオーディエンスも多く目につく。昨年の初日に出演するはずだったアクトが数多くブッキングされた6月29日、大規模ステージ=源氏ノ舞台の模様を中心に、レポートしていきたい。

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トップバッターを務めるのは、レペゼン宇治市のこやまたくや(G・Vo)擁するヤバイTシャツ屋さんだ。“Tank-top of the world”の猛烈なスピードの中でも、「一番と一緒!」と歌詞をガイドしながら駆け抜ける。まるでテーマパークのアトラクションのような、高いインタラクティブ性を誇るパンクである。お客さんとしての来場を含め、「大作戦」皆勤賞だと言うこやまは、「2008年に10-FEETのライブを観たせいで、人生狂わされました! お陰様で今、めちゃくちゃ幸せですーっ!!」と叫び、幸せな場所が続くことを願う“ハッピーウェディング前ソング”でステージを締め括るのだった。

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インタラクティブ性なら、こちらも負けてはいない。メンバーが好天祈願の巨大てるてる坊主に扮して登場するコミックバンド、四星球。挨拶代わりとばかりに“時間がないときのRIVER”を切り出し、“クラーク博士と僕”の演奏に無理やり“RIVER”の歌詞を乗せて歌う“クラーク博士とRIVER”など、予想の斜め上を行くネタ連打で爆笑を誘う。北島康雄(シンガー)は、40歳までに10-FEETの直前のスロットを務めることを宣言してフィールドを駆け抜け、“SWEAT 17 BLUES”をフィニッシュした後には、モリス(Dr)がオーディエンスに担がれて源氏ノ舞台→牛若ノ舞台間を移動する(つまり、2017年とは逆ルート)、というお約束の一幕も。

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ヒットソングの数々が強い求心力を発揮するORANGE RANGEのステージではあるが、HIROKI(Vo)は「新し目の曲でも盛り上がってるフリしてください!」と釘を刺す。いやいや、晴れた午後のフィールドに爽やかな躍動感をもたらす“Ryukyu Wind”も、YAMATO(Vo)の甘い歌い出しから始まるオキナワンミクスチャー“楽園Paradise”も、「初出演、新人のつもりでやらせて頂きます」というフレッシュな意気込みにも満ちていて見事だ。何より、今のORANGE RANGEは屈強なライブバンドである。マッシヴな“SUSHI食べたい feat. ソイソース”から暴風サウンドの“キリキリマイ”へと至る終盤の流れも圧巻だった。

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“BASIS”で急発進し、怪物的にのたうつハードコアサウンドでオーディエンスを巻き込むBRAHMANだが、“BEYOND THE MOUNTAIN”ではビシッと揃ったハンドクラップで応酬するオーディエンスも見事。そこから間断なく飛び込む“不倶戴天”の渦巻くような怒り、そしてスカパラホーンズをゲストに迎えた“怒涛の彼方”という流れも素晴らしかった。TOSHI-LOW(Vo)は、冗談交じりに昨年の大作戦中止について語りながら、各地の水害に見舞われた地域を思いやる言葉を投げかけてくる。そして今回のステージを締めくくったのは、ORANGE RANGEからYOH(B)が三線を携えてコラボする、再生のためのスペシャルな名カバー“満月の夕”だ。

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デビュー30周年を迎える東京スカパラダイスオーケストラは、ダークカーマインのスーツに身を包んで登場。“野望なき野郎どもへ”ではTOSHI-LOWがグレーのスーツで雄々しいコーラスを引き連れ、“Paradise Has No Border”では10-FEETの3人がフックに合わせて組体操を決める。「欣ちゃん、ちょっと退こうか」とKOUICHIがドラムセットに収まり、川上つよし(B)がNAOKIにサングラスを手渡すくだりから「ベース! ベース貸して!」とひとしきりボケ倒す合体コラボも楽しい。谷中敦(B.Sax)は、30年分の出会いと苦難について語り、そして鳴らされる“Glorious”は、まさに傷口から生まれ落ちたようなタフな輝きを放っていた。

さて、ここからのタイムテーブルがまた胸熱である。マキシマム ザ ホルモンROTTENGRAFFTY、10-FEETは、「京都大作戦2017」最終日に雷雨の中断に見舞われながら、限られた残り時間をシェアして奇跡的な完走を繰り広げた3組。つまり、彼らとファンにとっては、2年越しではなく3年越しのリベンジが果たされるべきタイムテーブルとなっていたわけだ。

「京都大作戦2019 〜倍返しです!喰らいな祭〜」 1日目 - Photo by 浜野カズシPhoto by 浜野カズシ

加えて、マキシマム ザ ホルモンにとってはライブ活動再開後初のフェス出演である。“恋のメガラバ”でフィールドをカチ上げると、ナヲ(ドラムと女声と姉)は「やっと、やっと、やっとこの景色が見れました!」と晴れやかな表情で感慨を漏らす。“maximum the hormone II~これからの麺カタコッテリの話をしよう~”の切迫した凄まじいコンビネーションを轟かせながら、ツアーで獲得してきた最新の経験値をまざまざと見せつけるのだった。絶好調で暴れ回るダイスケはん(キャーキャーうるさい方)も、「TOSHI-LOW、谷中さん、NOBUYA(ROTTENGRAFFTY/Vo)……『大作戦』が半グレの集会になっているなんて、知りませんでした」と笑わせてくれる。

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N∀OKI(Vo)の「夢の続きをおっぱじめるぜー!!」というがなり声で幕を開けた、結成20周年・ROTTENGRAFFTYのステージ。のっけから“金色グラフティー”で夕暮れの大合唱を誘い、強烈にバウンシーなサウンドを轟かせる“D.A.N.C.E.”、フィールドに笑顔が咲き乱れる“響く都”と、完璧なホーム感の中で重量級ミクスチャーサウンドを振りまく。しきりに煽り立てていたKAZUOMI(G・Programming)も遂にはギターを置いてフィールドに飛び込む狂騒ぶりだ。眩いバンドサウンドの中から、語り聞かせるように歌われる“「70cm四方の窓辺」”が美しい。限られた時間に、ありとあらゆるラウドミュージックの魅力を詰め込んで、10-FEETにバトンを繋いだ。

さて一方、この日の牛若ノ舞台では、昨年の初日に出演予定だったアクトたちが、口々に1年分の思いを伝えながら熱演を繰り広げていた。鮮烈極まりない3ピースサウンドのTrack's。ユーモラスなパーティ性を音塊と化して放つSHIMA。ステージエリア全域を動き回って大合唱を誘うハルカミライ。ファンキーなグルーヴが美味しいアクセントをもたらしたFIVE NEW OLD。演奏の鋭さ、タイトさに目を見張るENTH。懐の深い包容力を発揮していたSHANK。「ローカルバンドの最高傑作」G-FREAK FACTORYは、茂木洋晃(Vo)が「京都大作戦」に寄せる思いを伝え、激流のような口上で湧かせる。“ダディ・ダーリン”は、BRAHMANのTOSHI-LOWも援護する名場面となった。

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そして、源氏ノ舞台トリの10-FEETにバトンが手渡される。「さあ、行こう! 行こう! 行こう!」と、意気込みを持て余すように告げるTAKUMA(Vo・G)である。満場のオーディエンスによる盛大なコーラスをすべて受け止める“蜃気楼”で始まり、“LITTLE MORE THAN BEFORE”では胸の内を明かすようなギターソロで語りかけてくる。野外の巨大なステージで、親密なヴァイブが育まれるさまが素晴らしい。“時間がないときのRIVER”で軽く笑わせた後には、スカパラホーンズを迎えた“hammer ska feat. 東京スカパラダイスオーケストラ”、そして不撓不屈の反骨心を描く新曲“ハローフィクサー”が届けられる。

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来場者や出演者たちへの感謝の思いを告げ、「どう応えたらいいんだ!?」と自問自答するTAKUMA。ツインボーカルを加えた“その向こうへ feat. ROTTENGRAFFTY”では持ちうる力をただ出し切ろうとする姿を見せ、そして美しく折り重なる“ヒトリセカイ”の歌声へと向かっていった。アンコールでは、いつもより多めに回転ステップを踏んでいた気がするNAOKI(B・Vo)と、ご機嫌なKOUICHI(Dr)もそれぞれに感謝の思いを伝える。この時間帯に響き渡ったいつもどおりの“RIVER”は、いつもどおりだからこその安心感・信頼感を受け止めさせるものだった。最後には、2017年のフェス中断の記憶に残る一曲として、“DO YOU LIKE…?”を詰め込みフィニッシュ。ほぼ雨に見舞われることもなく、こうして「京都大作戦」の熱狂を取り戻せたことに、大きな喜びを感じる1日であった。(小池宏和)

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2日目のレポートはこちら。
「京都大作戦2019 〜倍返しです!喰らいな祭〜」 2日目
初日は天候に恵まれていたものの、2日目は強い雨が降りしきる中で開演時間を迎えた「京都大作戦2019 〜倍返しです!喰らいな祭〜」。タフな環境ではあるけれど、それを乗り越えて喜びを見つけてゆくところに、「大作戦」の「大作戦」たる所以がある。2018年2日目中止のリベンジを果たすべく、ズラリと…
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これまでの「京都大作戦」レポートまとめ読みはこちら。
「京都大作戦」のこれまでのライブレポートをまとめて喰らいな祭
いよいよ今週末の6月29日(土)からは、10-FEET主催のフェス「京都大作戦2019~倍返しです!喰らいな祭~」がスタート。昨年は残念ながら悪天候の影響で、幻の第1回(2007年)以来の開催中止となってしまいましたが、「倍返し」と副題がつけられた今年は、2週間にわたり初の4日間開催です。 …
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