クリープ流ポップソングの確立へ

クリープハイプ『イト』

2017年04月26日発売

クリープハイプ イト
ホーン混じりのカラッと明るいイントロに驚く間もなく、尾崎世界観の柔らかい歌に飲み込まれてしまった。これまでもポップソングを生み出してきたクリープハイプだが、この“イト”はグッと突き抜けて聴こえてくる。映画『帝一の國』のために、脚本をしっかり読み込んで書き下ろしたというエピソードが紙資料にあったので、もちろんタイアップありきの楽曲だとは思うのだが、彼らの心境や状況も合致したのだろう。

ポップソングだが、歌詞には少しの生温さもない。タイトルの“イト”は、「糸」と「意図」のダブルミーニングで、聴くと(まさに)ひもとける仕掛けが痛快。《いつもまとわりつくこの糸を 運命と呼べるその日まで/どうか重ねた手を掴むまで 何度でも壊せ》――映画のストーリーのみならず、様々な人生のストーリーに重ね合わせられそうだ。とことん鋭く、それでいてスケール感もある歌詞は、彼らがポップメーカーとしてだけではなく、ロックバンドとして進化したことを証明している。クリープハイプがクリープハイプのままで、さらに大きくなっていく予感がする。(高橋美穂)

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