織りなす〝回帰〟と〝実験〟

トッド・ラングレン『ホワイト・ナイト』
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ALBUM
トッド・ラングレン ホワイト・ナイト
トッド・ラングレンといえば、一昨年のフジロックでのパフォーマンスの印象が強烈で……という方も多いだろう。リンドストロームとのコラボ『ランダンス』をはじめとする近作のEDM路線を受けたダンス・ポップ独演会が評判を呼んだわけだが、今回はご安心(?)を2年ぶり26枚目となるニュー・アルバムの今作では、いわゆるブルー・アイド・ソウル路線へと回帰した作風だ。

もっとも、そこは多様な顔をもつ音楽家、ラングレンである。今作は楽曲ごとに異なるゲストを迎えたマルチ・コラボ作的な体裁がとられていて、単なる〝回帰〟に収まらない意欲的な試みが打ち出されている。ゲストの顔ぶれも、ドナルド・フェイゲンやダリル・ホールから、ロビンやデイム・ファンク、そしてトレント・レズナーまでじつに豪華。なかでも注目はやはり、レズナーとNINのアッティカス・ロスを迎えたダーク・アンビエント〜エレクトロ風の⑪だろう。あくまでラングレンの歌を中心に置きながらも、多彩なアレンジによる解釈で、その持ち味や奥行きを引き出す「プロデュース」が貫かれている。今作もまた果敢な〝問題作〟だ。 (天井潤之介)
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