すべての叫びと祈りを込めて

ゴリラズ『ヒューマンズ』
発売中
ALBUM
ゴリラズ ヒューマンズ
6年ぶりのアルバムということで、人間の不条理をコミカルに描いてきたあのバーチャル・バンドのゴリラズに今、どれだけ活動の必然とモチベーションが備わっているのか。気がかりなのはその点だった。デラックス盤・2枚組全26曲に及ぶ『ヒューマンズ』には、はっきり言って意味と必然しか込められていない。ブルースの起源を探求するデーモンの旅も、経済と戦火を繋ぐグローバリズムも、すべて内包して全人類に届けられる究極のポップ・アルバムである。古今東西のアーティストが大々的にフィーチャーされているのはクレジットのとおりで、スペーシーなサウンドスケープを纏いながら統一感を保ってゆくさまも印象深い。ヴィンス・ステイプルズによる警鐘のラップ”アセンション”や、皮肉のように原罪感を宥めるベンジャミン・クレモンタインのゴスペル”ハレルヤ・マネー”の他、デ・ラ・ソウルやグレイス・ジョーンズ、メイヴィス・ステイプルズ、カーリー・サイモンらベテラン勢も個性丸出しの活躍を見せていて素晴らしい。共演者たちの出演が噂される「DemonDayz Festival」は凄そうだが、さてフジロックはどうなるか。 (小池宏和)
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