神秘さを増した美学

フリート・フォクシーズ『クラック-アップ』

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フリート・フォクシーズ クラック-アップ
今のアメリカでもっともマイペースな活動を貫くフリート・フォクシーズ。高まるばかりの評価や人気をまったく無視して自分たちのタームの中で曲や演奏、歌、コーラスを磨き、熟成させていく。11年のセカンド『ヘルプレスネス・ブルース』から6年ぶり、サブ・ポップからノンサッチに移っての新作は、なんと「日本」がキーワードとなった。ジャケットは写真家、濱谷浩の撮ったものだし、ファースト・シングル“サード・オブ・メイ/大台ヶ原 ”は、日本百名山に名を連ね、特別自然保護区にもなっている吉野熊野国立公園内の山をテーマとしたもの。

日本通で知られるロビン・ペックノールド(Vo・G)が実際に行くなりしての体験から生まれた曲なのだろうが、9分近くある堂々たるナンバーで、地に足がついた拡がりは修験者たちへの畏敬や太古の光景につながっていく感じを受ける。しかしその曲だけが他に比べて特別に目立ったり神秘的だったりするわけじゃなくどれも有機的に呼吸するように絡み合い、繊細な織物の絵柄を浮かび上がらせていくところが素晴らしい。彼らにしか創れないタイプの文句無い傑作となっている。(大鷹俊一)

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