まったくもって残念だ。本作が、7月に脱退を表明した佐藤千明(Vo)との最後の作品になる。その理由は彼らのサイトに掲載されているので深掘りはしないが、赤い公園のボーカリストとして佐藤が作ってきたスタイルは何物にも代えがたい。ディズニーソングなどポップなものが大好きな佐藤のキャラと伸びやかなボーカルが、超マニアックにして極上ポップな津野米咲(G)の楽曲を、広い間口に向けバランス良く届けていたのは間違いない。本作は4人が7年半かけて到達した集大成のひとつと捉えたい。
歌川菜穂(Dr)のドラムで始まりホーンズと藤本ひかり(B)が飛び回る“カメレオン”を幕開けに、今年連発したシングル3曲“闇夜に提灯”“恋と嘘”、そして今聴くと津野から佐藤へのエールのようでもある“journey”を含む12曲。バンドサウンドにも磨きがかかった手応えを感じる中、抑制の効いた“最後の花”、胸キュンものの“ジョーカー”、そして津野のピアノだけで歌う“BEAR”と情感豊かな曲も揃えた。我が道を行く者へのエール“勇敢なこども”を歌いながら、4人は新しい道を歩み出す。(今井智子)
7年半の集大成
赤い公園『熱唱サマー』
発売中
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