周回おくれの勝者にエールを

ザ・ウォー・オン・ドラッグス『ア・ディーパー・アンダスタンディング』

発売中

ザ・ウォー・オン・ドラッグス ア・ディーパー・アンダスタンディング
何年かに一度生まれる「新たなアメリカン・クラシック」の名がふさわしい前作でブレイクを果たしたTWOD、名門アトランティックからの第一弾。本質的に宅録系で完璧主義(=テーム・インパラのケヴィン・パーカーと資質が近そう)な主幹アダム・グランデュシエルのような繊細な御仁がメジャーで大丈夫? と移籍を知った時はやや不安も感じた。が、前作で達成した「ロキシー『アヴァロン』とスプリングスティーンの融合」というありそうでなかった、しかし魅力的な音空間を更に推し進め、ディラン、ブルース・ホーンズビー、ドン・ヘンリー、ジャクソン・ブラウン、後期リプレイスメンツらが敷いた80年代AORの王道を迷いなく邁進。その意味でこの移籍は実は正解なのだと悟らされた。大半の楽曲が6分超え(リード曲からして11分)にも拘らず聴かせるのは真摯な歌声とパッショネイトでいちいち刺さるギター・ソロの数々、職人技なソングライティング&サウンド作りの確信ぶりゆえだ。シニカルな「レトロ・パロディ」の表情は一切なしに、期せずしてミレニアル世代と団塊世代とを結びつけブリッジを生み出す素晴らしいバンド。(坂本麻里子)

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