岩淵紗貴(Vo・G)と一瀬貴之(G)が手掛ける楽曲がとにかく色鮮やかで魅力的なギターロックバンド。昨年リリースした“命短し恋せよ乙女”のMVが既に160万再生を突破しているのも納得だが、普遍的なテーマをインパクト大なフックを使って描くのが上手い。今作の “支配するのは君と恋の味”も攻撃力抜群。前提として、ボーカルの女の子がポチなんて犬みたいな愛称で、愛らしいルックスに甘い声というのもやっぱり武器なんだけど、そんな彼女が歌うにはドキッとさせられる絶妙ラインのワードを選んでるのが、かなり確信犯的だと思う。恋する気持ちが揺れる様を数多くのモチーフで躍動感いっぱいに綴りつつ、《支配する》なんて強気な感情が覗くのも《最後の一滴を》というフレーズをリフレインするのも、効果的すぎる!と唸らずにはいられない。他に“悪魔のつくりかた”や“白い自転車”など全4曲が収録されているが、すべての曲を深く読み解きたいと思うほど渾身の物語が詰まっているし、そこに選ばれるサウンドの歪みや輝きのひとつひとつに個々のプレイヤーとしての誇りを感じる。(上野三樹)