四半世紀後の、奇妙な普遍性

R.E.M.『AUTOMATIC FOR THE PEOPLE【25TH ANNIVERSARY DELUXE EDITION】』
発売中
R.E.M. AUTOMATIC FOR THE PEOPLE【25TH ANNIVERSARY DELUXE EDITION】
“Man On The Moon”や“Nightswimming”、バンドのアンセムと言える“Everybody Hurts”などのヒット曲を収録した今作『オートマティック・フォー・ザ・ピープル』は、1800万枚もの売り上げを記録し、ロック史上最も重要なアルバムの1枚とみなされている作品だ。

しかし、このデラックス・エディションは、“Losing My Religion”で、大ブレイクを果たした後の選択とは思えない、死や悲しみに向うマイケル・スタイプの歌詞、エレクトリック・ピアノの起用、ジョン・ポール・ジョーンズによる美しいストリングスのアレンジなどむしろR.E.M.の奇怪さと偉大さを開陳し、それがくまなく至近距離から目撃できる内容になっている。

リハーサルなしとは思えない完璧なライブ音源も驚異的だし、世界初のドルビー・アトモスでミックスされた音源からは、これまで聴こえてこなかったギターやストリングスが目の前に現れ、彼らが今作で目指したその挑戦を改めて知る思いがする。さらに、今の真っ暗な世界に鳴り響くとマイケルの歌詞も声もすべてラブ・ソングに聴こえるところも、今作の奇妙な普遍性を物語っている。(中村明美)
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