音でモヤモヤを振り切る方法

ヒトリエ『ai/SOlate』
発売中
ヒトリエ ai/SOlate
wowaka(Vo・G)が6年ぶりに投稿したボカロ曲で、今作にセルフカバーとして収録されている“アンノウン・マザーグース”がまさにそうだが、ヒトリエの曲は独特な音の動きをすることが多い。激しく高低の間を行き来するメロディ、前のめりな疾走と突然の間、一気に絶頂へと突き抜ける展開などは、尾行を振り切ろうとしている車のイメージと重なる。いきなりの車線変更、急ブレーキと急加速、命知らずのコーナリングのような刺激が広がっているがゆえに、抱えているフラストレーションを後方へと置いてけぼりにするかのような爽快感をリスナーは噛み締めることができる。たくさんの人が暮らす世界の中に身を置きつつも、結局は孤独な「個」でしかない我々の内面を深く抉る描写が並ぶ今作だが、聴き終えた時に実にすがすがしい気持ちになる理由は、この作風が冴え渡っているからだと思う。一般的に「前向き」とされる言葉を連発するのではなく、シャープな演奏と粋なソングライティングの併せ技によってリスナーの心を上向かせてしまうヒトリエの魅力を、ぜひたくさんの人に味わってほしい。(田中大)
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