挫折者の心の旅

amazarashi『地方都市のメメント・モリ』

2017年12月13日発売

amazarashi 地方都市のメメント・モリ
新作は、エモーショナルに語り叫ぶポエトリーリーディングの曲から始まる。語り口調の曲はほかにも出てくる。言葉の比重が大きいamazarashiらしい内容だ。本誌2万字インタビューで、青森出身の秋田ひろむは、音楽を志して上京したものの一度は挫折して帰郷した歩みを語っていた。本人の経験が、これまで以上に反映された作品だと思う。『地方都市のメメント・モリ』と題されている通り、シャッター街、送電鉄塔、コンビニ、パチンコ店といった町の風景が詞に登場する。また、メメント・モリとは「自分が死ぬことを忘れるな」を意味するラテン語であり、絶望、死への意識などが、ロックなサウンドで、バラードで多く歌われる。感情の振幅が曲調の違いで表現され、言いたいことの多さが歌だけでなく語りも選ばせるといった具合だ。

全体をみると、心の旅といえる曲の数々に対し“命にふさわしい”が、ひとつの到達点になっていると感じる。ネガティブとポジティブが入り混じる感情の渦から光が浮かび上がるこのシングル曲は、アルバムで聴くとさらに感動的。挫折を知る人間に響く作品だ。(遠藤利明)

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