先行配信を経てCDがリリースされる新曲“サザンカ”は、平昌オリンピック・パラリンピックのNHK放送テーマソング。すでに公開されているMVは、Fukaseと神木隆之介が兄弟役として歌詞の世界に深く入り込むドラマ仕立てとなった。このMVからも明らかなように、“サザンカ”という歌は競技になぞらえた歌詞(FukaseとSaoriの共作)ではないし、スポーティなスピード感を感じさせる楽曲(NakajinとFukaseの共作)でもない。ありふれた生活の中から膨大なエネルギーを導き出す、美しくしなやかな歌である。《いつだって物語の主人公は笑われる方だ/人を笑う方じゃないと僕は思うんだよ》という、すべての人の苦悩と努力に寄り添う歌詞が素晴らしい。競技において勝者にスポットライトが当てられるのは真っ当なことだが、讃えられるべき人々のドラマは生活の中に無数に存在するということ。巨大なエンターテインメントの中でも本質を見失わない、セカオワの底力を感じさせるナンバーだ。ちなみに、冬に花を咲かせるサザンカの花言葉は、「困難に打ち克つ」「ひたむきさ」である。(小池宏和)
これこそ社会派のメッセージソング
SEKAI NO OWARI『サザンカ』
発売中
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