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藤井怜央(Vo・Key)のハイトーンボイス、ファルセット、ミックスボイスの魅力は本当に大きい。あの響き自体に美しいメロディとハーモニー、瑞々しい物語が宿っている……というような言い方もしたくなる。映画『(LOVE SONG)』の主題歌として書き下ろされた“Gravity”に耳を傾けるひと時も本当に心地よい。サビに突入すると一気に伸びやかさを強める歌声を聴くと、深い愛情から生まれる絶大な熱量、抗うことのできない圧倒的な力を自ずとイメージできる。歌詞はもちろん、歌声の音色自体も曲のテーマと密接に結びついているのを感じる。そして、明るい手拍子と開放的ダンスを誘うモータウンビートで彩った“イノセントブルー”も、彼の歌声は魅力的な語り部だ。爽やかな色彩であると同時に悲しみのメタファーでもある「ブルー」をモチーフとして愛を描くこの曲を温かなトーンで表現している。かけがえのない音色に存分に浸れる今作は、ファンにとって「やっぱり大好き!」と心の底から思える瞬間の連続だと思う。(田中大)(『ROCKIN'ON JAPAN』2026年1月号より)
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