ブライトンのアート・カレッジに通っていた女子3人によって結成されたドリーム・ワイフのデビュー・アルバム。これがもう、2010年代半ばのコートニー・バーネット、ウルフ・アリスあたりから続くガールズ・ロックの逆襲の決定打と断言したい傑作! 90年代のライオット・ガール勢、はたまたブリットポップ期のエラスティカやスリーパーの系統に連なるガレージ・パンク、ジャングリーなメロディ&ふてくされた少女の歌声と、ローファイでざらつくノイズ・ギター、その甘さと苦さのコントラストが絶妙だ。しかも彼女たちの場合は初期衝動一直線のガレージではなく、ソングライティングのマナーは意外なほど王道で、ブロンディやシンディ・ローパーにも通じるガールズ・「ポップ」の親しみやすさも兼ね備えている。また、ストロークスの影響と言うか、「カーズの影響を受けたストロークスの影響」という入れ子の構造、パワー・ポップの第3世代を感じられるのも本作の魅力です。(粉川しの)