BIGMAMAがアルバムを作る時に、まずテーマやコンセプトを決めるのは、アルバム1枚というサイズに必然を持たせたいから、というのもあるが、そうしないと出てこない音を出したいから、というのもあると僕は思っている。自分が普通にやれる範囲で音楽を作ってしまうのはイヤ、己に何らかのストレスや制限をかけることで、自分でも思いもよらなかったものが自分から出てくることに懸けたい、という。その成果が最大級に出たニューアルバム。テーマを「躰」に定め、1曲目“［手］YESMAN”、2曲目“［足］Ghost Leg”、というふうに体の部位をモチーフに全12曲を制作することによって、「今まで出なかった音」のほうだけではなく、逆の「すごくBIGMAMAらしい音」のほうも際立つ結果になっている。なお、リードシングルはファン投票で“［鼻］Step-out Spepherd”に決定、本作はメジャー移籍して最初のフルアルバム。というところまで含めて、無邪気に楽しく音楽を作ることができない人たちだなあ、と思うが、だからこそこれだけいい曲が揃うことになるんだよなあ、とも思う。（兵庫慎司）