人生続く限りが闘いだ

マニック・ストリート・プリーチャーズ『ディス・イズ・マイ・トゥルース・テル・ミー・ユアーズ <20周年記念コレクターズ・エディション>』
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ALBUM
マニック・ストリート・プリーチャーズ ディス・イズ・マイ・トゥルース・テル・ミー・ユアーズ <20周年記念コレクターズ・エディション>

マニックスの最高傑作はというと絞り切れず頭を抱えてしまうところだが、一番良い曲が詰まったアルバムならば、迷わず本作を推す。歪なギター・ロックとしての完成を見た『ホーリー・バイブル』、リッチー・エドワーズを失った傷を抱えながらも「正統な」ロック・サウンドに舵を切った『エヴリシング・マスト・ゴー』の2枚を経て、一躍国民的バンドとなったマニックスがスタジアムを沸かせるためのポップ・アンセムを量産した収穫の一枚だ。今回の20周年記念盤では、オリジナルのリマスターに加えて、デモとライブ・リハーサル音源のディスク2、リミックスとBサイド音源のディスク3がセットになっている。オリジナルの良さは今さら言わずもがなだが、続けてディスク2を聴いて思うのは、本作がやはりロック・アルバムなのだということ。いくらメロディが壮大であっても、ジェームスの声が、ニッキーのベースが、どうしようもなく怒りや激情を内包している。オリジナルがリリースされた98年以後、英国に雨後の筍のように乱立した叙情派・メロ・ロック風バンド達の教祖にマニックスがならなかったのは当然だったのだ。骨組みからまるっきり性質が異なっている。

ディスク3を聴いていても同様。マッシヴ・アタックモグワイコーネリアスらがかなり各自の色を明確に打ち出したリミックスを施しているが、それでも素材となる基の演奏に宿る強い記名性に耳を奪われるのである。ジェームスの特級品の歌唱を別にすれば技術そのものが頭抜けているわけではないが、やはりあまりに強固な思想や信念が音に乗っているのだろう。そして、本作から20年経った今もなおマニックスがこの当時と変わらぬ熱量をもって闘い続けていることを思うと、自然と頭が下がってしまう。(長瀬昇)



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マニック・ストリート・プリーチャーズ『ディス・イズ・マイ・トゥルース・テル・ミー・ユアーズ <20周年記念コレクターズ・エディション>』のディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』1月号に掲載中です。
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マニック・ストリート・プリーチャーズ ディス・イズ・マイ・トゥルース・テル・ミー・ユアーズ <20周年記念コレクターズ・エディション> - 『rockin'on』2019年1月号『rockin'on』2019年1月号
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