最新アルバム『重力と呼吸』から、今作に収められたアリーナツアー「重力と呼吸」、さらにドームツアー「Against All GRAVITY」へと至るMr.Childrenの道程はそのまま、今この時代を生きるロックバンドとしてMr.Children自身を再検証＆再定義し、不屈の肉体性とともに己の音楽世界のすべてをさらなる未来へと導いていくための闘いでもあった。90～00年代のシングル曲も『重力と呼吸』の楽曲も含め、その壮大な音風景の隅々にまで血液と息吹が宿っているような一連のツアーの躍動感と包容力を、アリーナツアー国内最終日＝大阪城ホール公演の模様を収めた今作は確かに伝えている。

「ティーンエイジャーじゃなくても、夢を持っても、憧れがあっても、理想があってもいい」……MCでそんなふうに語っていた桜井和寿の言葉は、デビューから四半世紀以上を経てなお、いやその歩みの中で最も力強く豊かなMr.Childrenを結晶させた今こそ、どこまでもリアルな意味を帯びて響く。“擬態”や“Worlds end”のダイナミズムも、会場を満たした“Your Song”の大合唱も、驚きの舞台装置の数々も必見。（高橋智樹）