ホントに働き者、というかワーカホリックぶりが全開しているノエル・ギャラガーの最新EP。長期にわたるツアーからは離れたいとの発言もあったものの、絶対出来ない人だと思うが、それはさておき今回のEPも大充実だ。先行シングルだった“ブルー・ムーン・ライジング”からしてダンサブルでフレンドリーな楽曲が歓喜に満ちたサウンド・アレンジに包まれ、自信たっぷりな歌声に絶好調ぶりがよく表れていたから期待は膨らむ一方だったものの、それを遙かに超えたクオリティの楽曲、アレンジでみごとだ。
確かに前作、サードの『フー・ビルト・ザ・ムーン?』が17年のリリースだからニュー・アルバムが仕上がっても不思議ではないのだが、その間のツアーの連続、コラボ、昨年は3種のEPリリースと来ているのだから、どこにそんな余裕がと思う。しかしながら、やはり曲を書いたり、スタジオにこもることが最高のリフレッシュ&リハビリなのだろう。そんな気分が音に乗っかっている。
新曲3つ、タイトル曲“ブルー・ムーン・ライジング”のリミックスが2つの計5トラック、配信・輸入アナログ盤限定EPだが、とにかくキャッチーな“ブルー・ムーン・ライジング”がまず良くて盛り上がる。つづく“ワンダリング・スター”は得意のシンガロングがよく似合いそうなナンバーで、一発で耳に焼き付くし、英俳優スティーヴン・グラハムがサンタクロースに扮したMVも心温まるもので、こうした一曲をトータル的にプロデュースしていくスケール感がノエルの凄さだ。
もう一つの新曲“カム・オン・アウトサイド”は一転して、ミディアムのロック感で迫ってくるナンバー。エッジの立ったサウンド、薄く入れられたコーラス、歌心が豊かに乗っかったギター・ソロ、それらを背景にドラマ性を帯びたのびやかなボーカルと、美味しいネタがバランスよく盛り込まれ、イマジネーションが大きく膨らんでいく。もっともっと聴きたい!となるのは当然で、すでに完成と、リバプール出身のプロデューサー&DJ、キャメルファットがバラしたとの話もあるアルバムの登場が気になるばかりだ。
残りの2トラックは“ブルー・ムーン・ライジング”の(ザ・リフレックス・リヴィジョン)と名付けられたものと、7インチ・バージョン。聴き物は7分半ほどの前者で、クールで熱いダンス・ビートが前半部にたっぷりと付き、スカスカとなった空間にサイケ感漂うボーカルが展開し、だんだんと分厚いサウンドへと流れていく展開は魅力的。
さぁー、アルバムだ。 (大鷹俊一)
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ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』4月号に掲載中です。
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