傑作だ。これがオーラルかという驚きの楽曲群と、過剰なほどにオーラルな楽曲群によって往復ビンタをかまされながら、かつてないほど巨大なオーラルの全貌が見えてくる。5周年ベストを携えた昨年の野外2デイズ、もっと言えばベスト盤のディスク2から変化の兆しは感じられていたわけだが、彼らのロックは想像を遥かに超える距離を一跨ぎにして、新しい基準を打ち立ててしまった。
本編は、インタールード的な“Breathe”を挟んで前後半に分かれる構成。そこで息継ぎが必要なほど怒涛のごとく押し寄せる全15曲ということだが、オープニングのナレーションを受け止めるべく響き渡るゴスペルクワイア“Hallelujah”と、14曲目の壮麗なロックナンバー“The Given”が、今の彼らの包容力の大きさを物語っている。ポップ最前線のプロデューサー陣が携わった楽曲も、暴発寸前のぶっ飛んだロックチューンも、この魂の解放に行き着くために必要なのである。なぜ神は、「わかり合いたいのに」という切望だけを我々に与えたか。汚染された世界でもがき苦しむ、すべてのモンスターのためのアルバムだ。(小池宏和)
これが、ゴジラの国のロックです
THE ORAL CIGARETTES『SUCK MY WORLD』
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