2002年のプリンスが甦る。ライブ玉手箱

プリンス『アップ・オール・ナイト・ウィズ・プリンス』
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ALBUM
プリンス アップ・オール・ナイト・ウィズ・プリンス

入手困難になっていたプリンスの旧作を、CDやアナログLPなど、フィジカルな形で改めてカタログ化しよう!という企画〈LOVE 4EVER〉もいよいよ第5弾。ただのリイシューではなく、「ファン目線」の凝りに凝ったパッケージも毎回の楽しみのひとつだけど、今回のラインナップの中で最大の目玉と言えるのが、こちら。02年にリリースされた『ワン・ナイト・アローン』シリーズの関連作をひとまとめにした、本邦初登場の豪華ボックス・セットだ。

具体的に中身を見ていくと、まず全体の柱となるのは、02年にリリースされたプリンス史上初の公式ライブ盤『ワン・ナイト・アローン…ライヴ!』。パッと聴くと一晩のコンサートのようにも聴こえるけど、実際には、全米8都市での公演のベストな部分を繋ぎ合わせた、計27曲の圧巻ライブ・ショーである。

セットリストは、ツアー時の最新作『レインボー・チルドレン』からの楽曲が最多で、6曲。別の言い方をすると、“パープル・レイン”のような人気曲に頼らずとも、新曲中心のセットで充分に勝負できる!という当時のプリンスの圧倒的な「確信」の表われとも言えるだろう。もちろんヒット曲がまったくないわけでなく、後半には“ラズベリー・ベレー”や“ナッシング・コンペアーズ・トゥ・ユー”なども登場。ニュー・パワー・ジェネレーションの各メンバーとの息もぴったりだ(特にやっぱりメイシオ・パーカー!)。

続いて『ワン・ナイト・アローン…ザ・アフターショウ〜』は、もともと『〜ライヴ!』のおまけ特典で収録されていたディスクで、昔から「本編ライブより長い+熱い!?」と噂だったプリンスのアフターショウ=打ち上げライブの模様を収録したもの。本編と比べ、よりジャム・セッション的インタープレイを堪能できる。って言うか、楽しすぎ!

さらに『ワン・ナイト・アローン』は、ライブではなく、全曲がピアノ弾き語りのスタイルで録音され、02年に発表されたオリジナル・アルバム。そして『ライヴ・イン・ラス・ヴェガス』は、もともと単体DVDとして発売された映像作品で、シーラ・Eも客演した02年12月のラスベガス公演を収録したものだ。

盛り沢山すぎて駆け足の紹介になってしまったけど、「動」のプリンスから「静」のプリンス、「表」プリンスから「裏」プリンスまで、まさに02年のプリンスの総てを詰め込んだ今回のボックス・セット。ちなみに02年といえば、武道館をはじめ、全国7都市でプリンスの最後の来日ツアーが実演した年!……そんな思い出を辿りたい方も、ぜひ。 (内瀬戸久司)



詳細はSony Music Entertainment (Japan)の公式サイトよりご確認ください。

ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』5月号に掲載されました。
ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。

プリンス アップ・オール・ナイト・ウィズ・プリンス - 『rockin'on』2020年5月号『rockin'on』2020年5月号
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