創作ラテン料理店、始めました!?

ブラック・アイド・ピーズ『トランスレーション』
発売中
ALBUM
ブラック・アイド・ピーズ トランスレーション

“パンプ・イット”や“ホエア・イズ・ザ・ラヴ”など、00年代に数々の大ヒット曲を連発し、世界をアゲアゲにバンプしまくり、ポップ・チャートの頂点を制したブラック・アイド・ピーズ(以下、BEPと略)。その後、ウィル・アイ・アムのソロ活動が忙しくなりすぎたことなどもあり、11年にいったん活動休止を宣言したが、18年に原点回帰の「3人体制」で電撃復活したのはご存じのとおりである。

本作は、そんな彼らの復活後の第2弾にして、Epic Recordsへのレーベル移籍後、初となるアルバム。内容的にも過去にない野心作で、コンセプトはずばり「BEP×最新ラテン・ダンス・ポップ!」だ。

全15曲が収録されたアルバムの中で、楽曲的なハイライトと言えるのは、やはりボーカルに豪華ゲスト陣を招いたシングル曲。J. バルヴィンが参加した“リトモ”では、のっけからBEP風のレゲトンが炸裂。その後もシャキーラの“ガール・ライク・ミー”、オズナの“ママシータ”などなど、豪華ゲストを曲ごとにしっかり「おもてなし」しちゃいます感が楽しい。ファーギーの長引く不在はグループにとってはもちろん痛手だけど、本作で導入された「オールスター・ゲスト形式」は、今のBEPにとって、ピンチをチャンスに変える一手かもしれない。

楽曲の作り的に言うと、本作は、BEPの原点とも言うべき、いい意味での「オールドスクール」なヒップホップ観が目立つ一枚になっている。サンプリングのネタ選び一つにしてもこだわりまくりで、たとえば“ママシータ”ではマドンナの「元祖ラテン・ポップ」である“ラ・イスラ・ボニータ”をトロピカル・ハウス風に料理することで、大先輩へのオマージュを表明。リサ・リサ&カルト・ジャム(!)の往年のダンス・ヒット“キャン・ユー・フィール・ザ・ビート”を引っぱり出してきた“フィール・ザ・ビート”のエイティーズ・ノリも無条件で盛り上がる。ニッキー・ジャム&タイガがゲスト参加した“ヴィダ・ロカ”に至っては、まんまリック・ジェームスの“スーパーフリーク”だ。ってことは、MCハマーの“U・キャント・タッチ・ジス”でもあるってことで、これはもう「イッツ・BEP・タイム!」なのだ。

単に流行りだからラテンに乗ってみました、という安易な企画ではなくて、だからこそ、タイトルも『トランスレーション(=翻訳)』としたんだろう。彼らのディスコグラフィの中では「番外編」扱いの一枚だと思うけど、実は、なにげに「ヒップホップ回帰」な力作。 (内瀬戸久司)



各視聴リンクはこちら

ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』9月号に掲載中です。
ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。


ブラック・アイド・ピーズ トランスレーション - 『rockin'on』2020年9月号『rockin'on』2020年9月号
公式SNSアカウントをフォローする

最新ブログ

フォローする