極上ブルース・ロックの競演

ミック・フリートウッド&フレンズ『セレブレイト・ザ・ミュージック・オブ・ピーター・グリーン・アンド・ジ・アーリー・イヤーズ・オブ・フリートウッド・マック[スーパー・デラックス・エディション・ボックス・セット]』
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ALBUM
ミック・フリートウッド&フレンズ セレブレイト・ザ・ミュージック・オブ・ピーター・グリーン・アンド・ジ・アーリー・イヤーズ・オブ・フリートウッド・マック[スーパー・デラックス・エディション・ボックス・セット]

フリートウッド・マックといえば、スティーヴィー・ニックスのボーカルによる珠玉のポップ・ロックをまずは連想するが、67年に結成された時には名ギタリストのピーター・グリーンが率いるイギリス有数のブルース・ロック・バンドだった。本作は、そんなピーターと初期のフリートウッド・マックを、現ドラマーでバンド・リーダーのミック・フリートウッド自らが祝福するもので、まさに豪華ゲストによる競演。

演目は70年のピーター脱退までのレパートリーに限られていて(ただしピート・タウンゼントは脱退後の曲を選んでいてその説明もMCでしている)、次から次へとこの時期の楽曲を取り上げていくが、もちろんソロもふんだんに披露しながら、まったくダレた演奏にならないところが素晴らしい。さすがにバック・バンドにギターを3人揃えた布陣も鉄壁だが、かつてフリートウッド・マックにも在籍したリック・ヴィトーがこのパフォーマンスの締まり方に貢献しているのかもしれない……などと思わせる、この競演自体がとても刺激的だ。

スター級のベテランが顔を揃える中、ザック・スターキーと並んでやはりノエル・ギャラガーがひときわ若造感が漂うが、それを見越して観客に「みんなの一部が考えてることわかるよ。俺にブルースなんかやれっこないって思ってんだろ(笑)」とそんなプレッシャーを跳ね返し、アコースティック・セット2曲で臨むところがいかにもノエルらしい。

特筆すべき客演はやはり、ピーターやミック、あるいはリックもかつては師事したジョン・メイオールか。それとオリジナル・メンバーで今回50年ぶりにミックとの共演を果たしたジェレミー・スペンサーの出番も圧巻だ。なお、ライブはロックダウン前の20年2月に行われ、その5ヶ月後にピーターは他界した。(高見展)



ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』6月号に掲載中です。
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ミック・フリートウッド&フレンズ セレブレイト・ザ・ミュージック・オブ・ピーター・グリーン・アンド・ジ・アーリー・イヤーズ・オブ・フリートウッド・マック[スーパー・デラックス・エディション・ボックス・セット] - 『rockin'on』2021年6月号『rockin'on』2021年6月号
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