「無人機」とされている戦闘マシンに搭乗して死と取り合わせの日々を送る存在「エイティシックス」と、危険のない外の世界から彼らを指揮する「ハンドラー」の姿を描いたTVアニメ『86―エイティシックス―』のオープニングテーマとなった“3分29秒”。思いやる心を示してくれたとしても、所詮は傍観者に過ぎないハンドラーに対するエイティシックスの複雑な感情を描いた曲としても解釈できるのだが、つらい別れを体験した者たちが苦しんだ末に辿り着いた境地が滲み出ている点にふと気づいて、はっとさせられた。wowakaが急逝した後、3人体制で歩み始めているヒトリエの実像も、ここには刻まれているのだと思う。エンディングの《安心しなよ、/僕達みんな終わるまで/やることは同じさ》という言葉は力強いのに、どこか悲し気だ。狂おしく吠えるギター、生命力と躍動感に満ちたリズム隊のサウンドも含めて、耳を傾けていると胸を激しく打たれずにはいられない。新しく動き始めたヒトリエは素敵なロックバンドであると同時に、もがきながら全力で生きている。そんな様をありありと感じた。(田中大)
悲しみを背負った新しい物語
ヒトリエ『3分29秒』
発売中
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SINGLE