非現実が現実となった今の写し鏡

the GazettE『MASS』
発売中
ALBUM
the GazettE MASS
現実と非現実が混ざり合ったようなジャケットに、これは今だ、と思った。10thアルバムという節目でコロナ禍に巻き込まれ、昨春に企画されていた18周年ライブも直前で中止。誰もが同じく困難を生きてはいるが、そもそも終末観を表現し、シーンの異端児である彼らは、こういった時でも、惑わずに、説得力のある言葉と音を届けられるのだと思う。

《曲がり捻れ聞こえた 崩れた概念に逃げた/正しく在りたいと願えば 春は彼方へ消えた》――これまでにないほど、腑に落ちる歌詞が際立つ“BLINDING HOPE”を筆頭に、生々しい楽曲が畳みかけてくる。血沸き肉躍る高速チューン“ROLLIN’”“HOLD”も、アコースティックな質感の“MOMENT”も、バンド感が強いのだ。エレクトロな音像にもトライしてきた彼らが、今、こういったスタイルに向かっているところに、ライブやファンに対する愛情や、音楽やバンドに向き合う意思を感じてならない。『MASS』は、密集、もしくは大衆という意味を持つ。この時代を私たちはどう生きていけばいいのか――残響とともに、そんな思考が頭を巡る一枚。(高橋美穂)

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