前作から約2年ぶりのフルアルバムは、全編「ロックンロール」をテーマに掲げた全13曲入り。「ロック」ではなく「ロックンロール」のエッセンスが存分に詰め込まれている。と言ってもそこは
ユニコーンのこと。単なる原点回帰に終わるわけがなく、ロックンロールの先人たちが遺した定石フレーズやニュアンスを、あたかも「お題」として引用していきながら、そのうえで自由すぎるほど自由に遊びまくる。
リトル・リチャードばりのシャウトで《やってミレー》と歌う“ミレー”、ロカビリーのビートで車のメンテナンスについて歌う“スペースカーボーイズ”、
エルヴィスオマージュの“夢 Me Tender”、呪術的なブルースからなぜか早口言葉へと展開する衝撃の“RRQ”、五七五七七の作詞で諧謔的に日本語のロックンロールを奏でる“短歌のやつ”と、最高の「遊び」が繰り広げられる。タイトル曲“ツイス島&シャウ島”は、その名前だけで名曲を約束されたようなものだが、ロックンロールの「黄金時代」的なアンサンブルで、笑いながらちょっとほろりと泣けてくる。いいなあ、これ絶対ライブが楽しいやつだ。(杉浦美恵)
『ROCKIN'ON JAPAN』9月号より