フィジカル作品としては2021年初の作品となるシングル。表題曲“ラストシーン”はTBS日曜劇場『日本沈没―希望のひと―』の主題歌として
石崎ひゅーいが書き下ろしたもので、ドラマのテーマにも添う、迷いや悲しみの中で戦い続ける人の想いを
菅田将暉の歌声が切実に表現している。楽曲制作にあたっては石崎と菅田が何度も話し合いを重ねたというだけあり、この“ラストシーン”はドラマの物語に寄り添うだけでなく、今我々が生きる災禍の時代に、静かに心を鼓舞するような楽曲だ。《2021年しるしをつけよう/君と僕がおんなじ世界で息をした/その証として》という歌詞をリスナー一人ひとりが、また何年後かにそれぞれ違った感慨を持って振り返ることだろう。重く、深いテーマに押しつぶされることのない菅田の歌声と、それを後押しするようなトオミヨウの編曲も見事。カップリングの“ギターウサギ”は菅田の作詞・作曲。メランコリックな漠然とした「思考」が徐々に「音楽」になっていく様を、そのまま形にしたような面白さがあり、ソングライターとしての新機軸を感じさせる良曲。(杉浦美恵)
『ROCKIN'ON JAPAN』1月号より