これぞポップス、という答え

ジェニーハイ『エクレール』
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ジェニーハイ エクレール
映画『ハケンアニメ!』の主題歌として書き下ろされ、同作に出演する声優・高野麻里佳が客演、さらには彼女以外にも劇中アニメの声優を務める超豪華声優陣が掛け声で参加。といった情報から企画ありきのタイアップソングだと先入観を抱いては、このアンセムの核心からきっと遠ざかってしまうことだろう。何しろ、この曲に対し川谷は「『ポップスとは何ぞや』を今までで一番考えた気がします」とコメントしているのだ。今日のこの国のポップスの大衆性を背負って立つようなあの男が、である。しかし、それにも得心がいくほど、これまで哀しみと喜び、後悔と決意といった相反する心情に挟まれたアンビバレントなフィーリングを描くことに長けた作家であったはずの川谷が、この曲では眩いほどの歓喜を目一杯の明るさをもって響かせているのだ。この高揚感には、どうにも抗い難い。また、その曲作だけでも極上なのだが、細やかなストリングスアレンジやメンバーの一筋縄ではいかない演奏(特に新垣のピアノソロのえげつなさ!)によって楽曲の高級さが担保されていることも、ますます手が付けられない。(長瀬昇)

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