アリーナツアーの余韻冷めやらぬうちにデジタルリリースされたライブアルバムで、追加公演「SEES」編から8月14日のさいたまスーパーアリーナ公演を収録。このスピード感こそがデジタルリリースのいいところだし、追って10月25日には本公演「PEOPLE」編も届けられる。表現するべき新たなテーマに迷い、コロナ禍以降の孤立/分断の時代とがむしゃらに取っ組み合ってきた日々が、ゆずのふたりを強烈なポジティビティへと駆り立てていた。それをいつでも生々しく呼び起こしてくれるという点で、メモリアルと呼ぶだけでは物足りない記録作品になっている。“ゆめまぼろし”や“イセザキ”といった岩沢厚治作の新たな名曲たちは序盤のうちに堂々披露。一方、“あの手この手”における北川悠仁のエンターテイナー魂は、何度思い出しても目頭が熱くなる。何より、“栄光の架橋”と“NATSUMONOGATARI〜桜木町メドレー”“ALWAYS with you”といったふうに新旧の楽曲がドラマティックに連なるパフォーマンスは、ゆずとファンが手を取り合って潜り抜けてきた時間を眩く照らし出している。(小池宏和)
苦闘の先にあった、25周年の風景
ゆず『YUZU ARENA TOUR 2022 SEES -ALWAYS with you-』
発売中
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