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TVアニメ『機動戦士ガンダム 水星の魔女』最終回挿入歌として、物語の登場人物の視線にぴたりと寄り添い描かれる、穏やかで優しい感情を切り取ったリリックがまず見事。しかも、その中に3月下旬に撮影中の事故により顔に約30針を縫う大怪我をした自分が、かつて当たり前にあった何気ない日常を「宝石のよう」と感じた体験をそっと忍ばせ、普遍的なテーマへと昇華している。サウンド面では、同作のEDテーマであった“Red:birthmark”の苛烈さと比べれば、大河のような大らかなもの。ただ、だからこそ曲後半にオケがスケールを増すとともに《薄凍りが張ったみたいな世界/君に出会えて溶けていく 心/あぁ 続けていこう/宝石の日々/きっと続くさ このまま このまま/君と見たい夢を もっと/祝福を紡いで そっと》と声を張り上げることにより、この歌の主人公が眼前の日々のかけがえのなさを理解しつつ、それゆえそれがいつか終わることも感じ取っているのだと予感させるラインの両義性に、胸を揺さぶられるのだ。(長瀬昇)(『ROCKIN'ON JAPAN』2023年9月号より抜粋)
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