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NHKドラマ10『大奥 Season2』主題歌としてオンエア中のバラード“白色蜉蝣”を表題曲に掲げた、Aimer自身23作目のシングル。時を超えて届く祈りそのもののようなAimerの歌声が、《百年先 紡いだ世界で 光に消されて僕が見えなくても》と“白色蜉蝣”冒頭のメロディを伸びやかに奏で始めた瞬間、江戸時代をテーマにしたドラマと2023年の「今」の境目は無効化され、視界はクリアに澄み渡る。共感/共鳴/多幸感といった「実用性」の面において加速度的に進化を遂げ続けるポップミュージックの世界にあって、Aimerの歌は一貫して、音楽の根源的かつ切実な原動力――今ここにある現実のすぐ裏側にある神秘への希求――を体現し続けているし、その輝度と純度が作品を重ねるごとに刻一刻と研ぎ澄まされている、ということを物語る名曲。カップリングで収録された“Overdrive”の決然とした疾走感も、純白のスロウブルース“Sweet Igloo”の包容力も、Aimerの歌が描き出すパースの雄大さを克明に伝えてくる。(高橋智樹)(『ROCKIN'ON JAPAN』2024年1月号より抜粋)
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